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飯野八幡宮本殿
飯野八幡宮本殿
福島県いわき市
年度………XXXX年
施工内容…
四世紀近い歴史を有する近世初期の遺構をもとに元禄改造時の姿に復元。
福島県の南部、いわき市平の西方丘陵地に所在する大型社殿で、元和2年(1616)の建立墨書が残っており、昭和58年に国の重要文化財に指定されました。神社の創立は文治2年(1186)、石清水八幡宮より御神躰を奉じ、赤目崎見物赤岡(現いわき駅北の高地)へ勧請したことに始まるとされています。慶長7年(1602)、現在地に遷宮したものの同19年に近隣民家の火災により類焼。元和元年(1615)から本殿の再建が始まり、寛永年間にいたる約30年間にわたって本殿、若宮社などが造営され、享保年間(1716~36)には神仏習合の殿社が20棟ほど建つ壮大な境内が再建されていましたが、明治元年(1868)の神仏毀釈により、本殿、拝殿・幣殿、唐門、若宮社、仮殿、神楽殿、楼門、宝殿が残るのみとなりました。
本殿は元和2年の建立以来、ほぼ30~40年周期で修理が行われていましたが、近年では昭和12年に屋根葺替が行われて以来、戦後の混乱もあり、荒れるに任せた状態が続いていました。雨漏りとそれに伴う軒廻りの破損は著しく、昭和57年には屋根に鉄板覆いをかける応急修理が行われました。今回の修理にあたっては、建立当初の流造、流し板葺への復元が可能な資料はありましたが、本殿の延寶・元禄の改造の意匠は本格的で仕事の質もよく、八幡宮全体の社頭を考えた場合、現在の境内に残る他の建物も元禄期で整備され、特に拝殿・幣殿は延寶改造時期にあわせて建てられているため、元禄の改造時の姿に復旧整備することになりました。屋根についても、昭和57年の鉄板葺を撤去し、元禄・寶暦・天明の各修理時の墨書により、こけら葺としました。
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